近況:論文掲載、計量分析セミナー、報告予定

あっという間に8月が過ぎ去り、気づけば9月になっていました。この間、いくつか研究に関連することでの進捗等がありましたので、近況として記しておきたいと思います。

European Sociological Reviewに論文掲載

立教大学の豊永耕平さんとの共著論文、Role of Cohort Size in Trends in Class and Occupational Returns to Education at First Job: The Case of JapanがEuropean Sociological Review誌に掲載されました。産業諸国で生じた高学歴化は、高学歴者の供給過剰をもたらし、地位達成に対する学歴の効用(Education-Destination association)を弱めたと指摘されています。しかしながら、高学歴化が生じたにもかかわらず、こうした学歴の効用の低下が見られない国はいくつか存在し、日本はそうした社会のうちの1つです。本論文ではその謎を解く鍵を、高学歴化と並行して生じたコーホートサイズが減少したことで高学歴者の「人数」の増加が抑制され、供給過剰が起こらなかったという仮説に求め、これを日本を事例として検証しています。

本論文は自分にとってはじめて掲載された英語論文となるので、とても嬉しいです。これからも引き続きがんばりたいと思います。

東京大学社会科学研究所にて計量分析セミナー

8月30日に開講された2021年度計量分析セミナー・夏のセミナーのうちの1つ、「Stataによる計量分析の実践」にて、講師を務めさせていただきました。セミナーでは、記述統計量、二変量の分析(クロス集計、散布図など)、回帰分析、ロジットモデルについて、どのように使えばよいのか、Stataでよりそれらを効率的に実施するためにはどうすればよいのか、という側面に重点をおいてお話をしました。内容については、こちらのページに記載しています。

数理社会学会大会での報告予定

9月4–5日にオンラインにて実施される第71回数理社会学会大会にて、以下の2つの報告を行う予定です。

1つは、立教大学の豊永耕平さんとの共同研究で、「高学歴化は大学の平等化機能を弱めるのか:大卒/非大卒における出身階層の直接効果の趨勢分析」という報告です。さまざまな国において同じ学歴であったとしても出身階層が高いほど高い地位に就きやすいという事実が知られています。本研究ではそうした関連がコーホート(世代)によって変化しているのか否かを、大卒層と非大卒層を比較しながら分析しています。

もう1つは、慶應義塾大学の田上皓大さんとの共同研究で、「SSM職業分類と日本版O-NETのマッチングとその応用:賃金と健康との関連に着目して」という報告です。こちらは、労働政策研究・研修機構によって整備され、厚生労働省から公開されている職業情報サイト(通称:日本版O-NET)の情報を、SSM職業分類とマッチングさせることで、職業のもつ特性を数値化して分析することができる、という内容の報告です。

いろいろな意見をいただいて、さらに研究を進めていきたいと思います。