2021年度通年 社会学演習

テーマ

社会的不平等に関する実証研究

開講

学習院大学法学部政治学科 前後期

授業概要

本演習の目的は、社会学の視点から、問いを設定し、仮説を立て、それに答えるために社会調査データを分析することを通じて、社会科学一般の基礎となる研究過程を体感し、かつそれを実行するためのスキルを習得することにある。社会学では、個人の行為を説明するにあたって、社会的な文脈の影響に着目する。なぜある人はお金持ちで、ある人は貧しいのか?なぜ大学に行く人と行かない人がいるのか?なぜ家事や育児にかける時間が人によって違うのか?こうした一見個人的な行為、あるいはその結果に対する説明を考え、その説明を検証するための具体的な方法を身につけることを目指す。

社会の実態を記述するために最も基本的な方法の一つが、社会調査データの分析である。本演習では、実際にこうした調査データを用い、統計ソフトを用いて分析する方法について学習する。先行研究をもとに問いを立て、論理的に仮説を導き、データを用いて仮説を検証するという一連の作業を通じて、実証的な研究を行うためのスキルを身につける。こうしたスキルは、直接研究には携わらないとしても、今後の仕事や生活で必ず役に立つだろう。

前期は社会学に関連する基礎的な文献および実証研究論文の購読と、統計分析の方法およびそれを具体的に実行するための統計ソフト(RおよびRStudio)の使い方の学習を並行して進める。文献の購読に関しては、はじめに少人数のグループに分かれて内容や疑問点について話し合った後、議論の共有を行う。有意義な議論を行うため、参加者は全員がテキストを事前に読んでくる必要がある。統計分析の方法に関する文献については、各自事前に該当箇所を読んだうえで、一通り書かれたコードを実行してくる。こちらも各自が文献を読んでいることを前提に、授業では疑問点を解消することを中心とする。前期末には後期の個人研究に向けた研究計画の書き方やデータの紹介を行う。これを参考にしながら、夏期休暇中には各自で研究計画を作成・提出する。

後期は各自の研究報告およびレポート執筆のための作業を中心とする。報告者は事前の十分な準備が必要となる。研究課題は社会学、なかでも社会階層、不平等、労働、家族、教育、等々にかかわるテーマでのレポート執筆を期待するが、とくにこのテーマでなければならないといった制限はない。統計分析に使用する社会調査データとしては、日本版総合的社会調査(Japan General Social Survey, JGSS. https://jgss.daishodai.ac.jp/surveys/sur_top.html)を予定している。別の調査データ等の使用については妨げるものではないが、別途使用に際して手続きが必要な場合があるので、教員に相談すること。文献2の付録にはJGSSのほか社会調査データの説明がいくつか載っている。なお受講人数によっては、1人ではなく2–3人のグループを作ることも検討する。複数回の研究報告を通じて研究内容をブラッシュアップし、研究論文としても良質のレポートを執筆することを目指す。

到達目標

  1. 社会学の視点から問いを設定し、仮説を立てられるようになる。
  2. 社会調査データの分析方法を身につける。
  3. 実証研究による報告論文(レポート)を書くことができる。

テキスト

Watts, Duncan J. 2011. Everything is Obvious *Once You Know the Answer: Why Common Sense is Nonsense. Atlantic Books.(青木創訳,2014,『偶然の科学』早川書房.)

数理社会学会監修,筒井淳也・神林博史・長松奈美江・渡邉大輔・藤原翔編,2015,『計量社会学入門:社会をデータで読む』世界思想社.

浅野正彦・矢内勇生,2018,『Rによる計量政治学入門:統計学で政治現象を分析する』オーム社.

そのほか数本の英語論文を購読予定である。

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