開講
一橋大学社会学部 春夏学期
授業の概要
本授業の目的は、量的社会調査データの分析をもとに、人びとの、そして社会の実態を明らかにするための統計的な基礎を身につけることにある。具体的には以下の技法を身につけることを目指す。
- 標本調査データから母集団の特徴を推測する方法を学び、適切に使用できる。
- 統計的仮説検定の論理を理解し、検定結果を適切に解釈できる。
- 他者の行った統計分析の結果を適切に理解し、解釈できる。
- 適切なソフトウェア(Microsoft ExcelおよびR)を用いて、統計分析および統計的推定・検定を行うことができる。
推測統計の意義を正しく理解するため、記述統計に関する基礎知識(平均値、中央値、標準偏差、クロス集計、相関係数など)を事前に有することが望ましい。なお本科目は社会調査士資格カリキュラムD科目(社会調査に必要な統計学に関する科目)に対応しています。
授業で演習を行うことがあるため、Microsoft Excel, R, R-StudioのインストールされたノートPCの持参を推奨します(持参は必須ではありません)。RおよびR-Studioのインストール方法に関しては授業時間中に指示します。レポート課題に答える際にはこれらを使うことが必須となります。
テキスト
永吉希久子,2016,『行動科学の統計学:社会調査のデータ分析』共立出版
- 統計学的な説明の際に主として参照します。
浅野正彦・矢内勇生,2018,『Rによる計量政治学』オーム社.
- Rでの演習の際に主として参照します。
参考文献
(入門)
西内啓,2013,『統計学が最強の学問である:データ社会を生き抜くための武器と教養』ダイヤモンド社.
中室牧子・津川友介,2017,『「原因と結果」の経済学』ダイヤモンド社.
田中隆一,2015,『計量経済学の第一歩:実証分析のススメ』有斐閣.
畑農鋭矢・水落正明,2017,『データ分析をマスターする12のレッスン』有斐閣.
(本格的に勉強したい人向け)
Imai, Kosuke. 2017. Quantitative Social Science: An Introduction. Princeton University Press.(粕谷祐子・原田勝孝・久保浩樹訳,2018,『社会科学のためのデータ分析入門 上/下』岩波書店.)
Wooldridge, Jeffrey M. 2019. Introductory Econometrics: A Modern Approach, 7th edition. South-Western Publishing.
Angrist, Joshua D. and Jörn-Steffen Pischke. 2008. Mostly Harmless Econometrics. 大森義明・田中隆一・野口晴子・小原美紀訳,2013,『「ほとんど無害」な計量経済学』NTT出版)
計画
第1回 ガイダンス
第2回 確率と確率分布
第3回 中心極限定理
第4回 区間推定
第5回 仮説検定の論理
第6回 比率と平均値の差の検定
第7回 クロス表の独立性の検定
第8回 分析結果を可視化する
第9回 回帰分析・相関係数
第10回 重回帰分析
第11回 回帰分析:ダミー変数・非線形の関連
第12回 回帰分析:交互作用
第13回 まとめ
課題