Rによる社会調査データ分析の手引き
今年度一年間のゼミ、およびそれ以前の授業などを経て、社会学の実証研究論文を書くうえでどのようなことを教えたらよいのか、どのようなところで学生がつまづきやすいのかといった経験が蓄積されてきました。これを踏まえて、来年度以降のゼミなどで使用するための資料を作成しました。せっかくですので、こちらを公開したいと思います。
→こちらからアクセスできます。
こうした資料を作成した背景には、社会学の計量分析、とりわけ社会調査データの分析について、たんに統計の解説ではなく、問いの立て方、データの加工、結果の解釈、論文の書き方といった実際に論文を書いていくうえで重要となる点まで踏み込んだ教科書が見つからなかったという理由があります。授業で説明をするにしても、口頭で何度も同じことを説明するよりは、教科書のようなものがあったほうが学生にとっても、教員にとっても楽になると考えました。
使用する統計ソフトウェアをRとしたのは、自分自身は、StataとRはどちらも同じくらい使うのですが、学生が集まってStataを使う環境がないからという実務的な理由と、無料の統計ソフトウェアであれば学生が自分で使ったり勉強してみたいと思ったときや、大学を離れてからも使えるだろうという理由です。
資料作成にあたって意識したことは以下です。
社会学の計量分析を念頭に置く。
社会学のデータ分析の中でもとりわけ、社会調査の個票データの分析に特化する。
たんにデータ分析のコードのhow toとするだけではなく、問いの立て方、論文の構成・まとめ方、結果が何を表しているのかといった解釈の部分を含め、論文執筆に役立つようにする。
コードについてはtidyverseの利用を前提とする。
統計学の知識がなくても(おおまかに)理解できるようにする。難しい説明、難しい手法は避ける。
資料は(いつまでも)ベータ版であり、不正確な記述などがある可能性があります。来年度以降、都合のつく範囲で少しずつ改訂を重ねていって、より学生にとって役に立つものにしていきたいと思います。